理想の我が家のイメージを、一つひとつ深堀りしながら

特にこだわった部分はどこですか、と質問すると「全部ですね」と晴れ晴れとした笑顔で答えてくださったM様。農業を営むM様のご自宅は、広大な畑の真ん中にあります。モダンな黒い外観。鍵を持たずに済むナンバーロック式の玄関。中に入れば、まるで南国のリゾート地のような空間が広がっていて、訪れる人たちの驚く顔が目に浮かぶようです。

ご自宅を新築するにあたって、M様には「やってみたいこと」がたくさんありました。設計事務所の先生と打ち合わせを進め、その理想を叶える役目を西川工務店が担うことになったのです。「西川工務店の担当の人がとっても感じが良くて。やりたいっていうこちらの気持ちを、きちんと聞いてくれました。建設中にも、『ここに収納があったほうが便利ですよ』とかいろいろアドバイスをくれました。おかげで、最初のイメージよりも良くなったと思っています」。

建築設計図を眺めながら、当時を振り返ってくださいました。M様邸は、一方が広がった独特の形状をしています。

こだわり満載のM様邸。たとえば建物全体の形状は扇状と、一般的な住宅の形状ではありません。通常は床材として使われる材を壁材に使用するなど、斬新なアイデアも取り入れられています。ご家族が寛ぐリビングの正面には、畑を臨む大きな窓。さらに横壁の上方の細長い窓は、ソファに座ったときに日高山脈がちょうど美しく見えるようにと設計されました。「使う素材に関しても、使える候補がすごく多くてびっくり。一つひとつ相談しながら一緒に作り上げていく感覚が、とても面白かったです。こちらで探して使ってほしいとお願いしたものもあったのですが、イメージどおりに仕上げてくれました」。美しい貝殻を連ねた照明器具や、玄関や寝室のレリーフは、M様ご夫妻のお気に入り。とてもセンスの良いアクセントになっています。

木をふんだんに使用した造りのため、樹液が出てきたり、時間の経過と共に歪みが生じることもあります。その際は、必要に応じてメンテナンスにもお伺いしています。

ご夫妻お気に入りのレリーフを玄関と寝室に。レリーフがぴったり嵌るように、細かく調整しました。

ご家族と大工との心温まるエピソード

当社の大工が建設を進めている最中、M様がご家族で見学にいらっしゃいました。その際、心づくしの差し入れを持ってきていただいたことも。そのお気持ちがどんなにかうれしく、ありがたかったことか。また、お子様たちが大工の仕事の様子をじっとご覧になっていたことも、印象深く残っています。「大工さんも優しい人ばかり。作業の様子を子どもが見ていたら、木の破片にやすりをかけたものをくれたりしました」とご主人。M様ご一家の家づくりの素敵な思い出の一端を担うことができたのなら、うれしい限りです。

ご先祖様への思いを、つなぐ家として

ご自宅を新築するタイミングで、畑の中にあったご主人のご先祖様のお墓を一旦取り壊すことになりました。その際、設計士の先生からのアドバイスで、玄関を入ったところの土間に大きな窓を付けることになったそうです。窓の向こうに見える畑は、ご先祖様のお墓があった場所。「玄関を入る度、ご先祖様に挨拶ができるように」。M様たちにとっては、今に至る礎を築いたご先祖様への敬意をつなぐものとしての「家」でもあるのだと、教えていただきました。

土間。仕事の打ち合わせなどに活用されています。

西川工務店担当者より

扇状の平面という特種な形状なので、「基準ポイント」を建物外部に置く必要がありました。直角ではない分、施工精度の確保に頭を悩ませることも多かったのですが、設計イメージどおりの建物に仕上げることができたと思います。