‟地域のお医者さん”としての医療の在り方を実践する場所として

やらわかな間接照明が、心を和ませてくれます。

綿密な打ち合わせとフレキシブルな対応

設計事務所の先生からの紹介で、当社を知ったという酒井院長。「西川工務店さんが施工された市内の病院がいくつもあって、実際に見学をして決めました。おしゃれな雰囲気がいいなと思って。設計士の先生と二人三脚で、開院に向けて動いてくれました」。酒井院長は、帯広第一病院で副院長をされていました。在宅医療をはじめとする地域に密着した医療の提供を志し、独立を決意。「ちょっとしたことでも、患者さんが相談に来られるような場所にしたかった」と独立開業に際する思いを語ります。

そのために酒井院長が求めたのは、居心地の良い上質な雰囲気。「とてもモダンで、病院らしくない病院になりました(笑)」。光が燦燦(さんさん)と降り注ぐ待合室は、きれいな十勝晴れの空を眺めてリラックスできるようにと設計。木目をアクセントにしたデザインは、品の良さと安心感を両立させています。

前職に勤務しながらの打ち合わせは2週間に1回ほど。時には2~3時間におよぶこともありました。「自宅を建てたときよりも、ずっと濃密な打ち合わせでした。西川工務店の担当の方は、こちらの要望に対して『ノー』とは言わないんです。難しいことでも必ず一度呑み込んで検討してくれましたし、状況についても詳しく説明してくれました。施工が随分進んでから、『やっぱりこうしておけば良かった…』と相談したことも。ギリギリまで、対応してくれましたね」。診察室からレントゲン室、内視鏡検査室に続く動線の確保も、大きなポイントのひとつとなっています。

待合室。天井が高く、大きな窓が開放的な雰囲気。「晴れた日は、空がとってもきれいなんですよ」と酒井先生。

診察室から、内視鏡室、レントゲン室へ。この動線にこだわりました。

スケジュールとの戦いを乗り越えて

2018年9月、北海道を襲った胆振東部地震の影響もあり、完成目前にして必要資材が届かないなどのアクシデントに見舞われました。開院前の保健所の検査は月に一度しか行われないため、もしも完成が遅れるということがあれば病院の開院も1ヵ月遅れてしまうことになります。患者様にも大変なご迷惑がかかってしまう事態を何としても避けるべく、協力業者の皆さんとも緊密に連携を取り合いながら対応させていただきました。

目指すは‟まちのお医者さん”

「専門に囚われない、広くて深い医療を提供したいと思っています。自分の目で見て、患者さんと直にお話をして、自分の言葉で伝えること。患者さんと一緒に歩んでいくことを大切にしたい」。地域に根差した医療の提供は、以前、この場所で診療所を営んでいた別の医師の思いでもあったのだそう。開院にあたってはその方ともお話をされ、「地域の診療所になるのならと、土地を譲っていただいたんです」。さかい総合内科クリニック様に込められた、医療に携わる方たちの熱い思いが伝わってきます。

診察室。木を基調にした落ち着く空間です。

西川工務店担当者より

開院日が確定しており工期自体もあまり余裕のある現場ではありませんでしたが、西川工務店の自慢である腕の良い大工が力を合わせることで間に合わせる事ができました。酒井院長にもいろいろと決めていただく必要があり、お忙しいと分かっていながら催促してしまう事もありましたが、素早く決めて頂き大変助かりました。

工事中に酒井院長、設計事務所様、協力業者様含めての食事会を行いました。こういう機会はなかなかなく、参加された皆様の意外な一面が見えたりして、とても楽しい時間を過ごす事ができました。とても思い出深い経験となりました。